アイフォーンを触っていると・・・2

 アイフォーンで小説を読んでやろうと思って,青空文庫というところで物色していたら,夏目漱石の「三四郎」があった。なんだか懐かしい気がして,ちっちゃな窓に「三四郎」を映して,ちょびちょび読んだ。いいねえ。評価はいろいろあるでしょうが,僕はこの小説が好きだね。漱石は「三四郎」を連載するにあたって,明治という時代の東京という町に若い登場人物たちを放り込んでやれば,勝手に生き生きと動き出すだろう,と言ったというけれど,本当にその通りに三四郎も美禰子も,与次郎も野々宮さんも漱石の思惑とは無関係に活動して,漱石はそれをただ懸命に写し取っているような感じだ。明治という時代のガヤガヤとした喧騒とまだ汚れていない東京の澄んだ青空や空気が肌に触れてくるようだ。小さな画面で,時には12分という時間で読んだ。一月ぐらいかかったけれど,いつもあの時代の東京を小脇に抱えているような,ひそかに嬉しい気分でしたね。文庫をポケットに入れているのとはちょっと違う感覚だな。こんなことは一昔前にはありえなかったわけで,進歩ですねえ。本読みの風景が変わったね。

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    Elizabet Luoma (金曜日, 03 2月 2017 18:57)


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